|
 |
九州国立博物館ガイド vol.6
「本願寺展 親鸞と仏教伝来の道」に寄せて vol.2 親鸞聖人の伝絵・絵伝
■プロフィール 九州国立博物館文化財課資料管理室長
伊藤信二(いとうしんじ)
文化庁で国宝・重要文化財の指定や修理業務にたずさわったのち、現職。専門は仏教工芸史。朝倉市杷木在住。 |
|
 本願寺(西本願寺)には、開祖親鸞聖人をはじめ、歴代門主やこれに連なる人々にかかわる数多くの絵画が伝来しています。本展覧会では第1章で、親鸞聖人の生涯を描いた伝絵・絵伝を紹介しており、ここではそのいくつかについて述べることとします。
浄土真宗では親鸞聖人の伝記を絵や詞書によって表したものを、絵巻物であれば「伝絵」、掛け軸であれば「絵伝」と呼び習わしています。現存作例に照らすならば、まず伝絵が制作され、その説話と図様をもとに絵伝ができたという見方が通説です。
親鸞聖人の本格的な「伝絵」は、永仁3年(1295)、本願寺第3代覚如上人のもとで制作された絵巻物が最初です(現存せず)。今回出陳されている重要文化財「善信聖人絵」(図1 本願寺蔵)もまた、上下2巻からなることや、詞書(文字の部分)が覚如自身の筆であることをはじめ、随所に古様な点が見られ、親鸞聖人の伝絵としてはもっとも古いもののひとつです。吊り上がった太い眉という、特色ある親鸞聖人の姿が描かれています。
絵巻物では、いちどきにある限られた人数でしか鑑賞ができません。ですので、絵の場面だけを抜き出し、縦長の画面に配置して掛け軸に仕立てた「絵伝」が描かれるようになりました。すでに南北朝時代14世紀には、こうした掛け軸形式の親鸞聖人絵伝が描かれており、室町時代なかばの15世紀には、本願寺教団の全国的な拡大にともない、特に掛け軸4幅にわたって伝記を描く、いわゆる「四幅絵伝」がひじょうに数多く制作され、全国的に流布しました。 図2は本願寺の絵所(絵画制作スタジオ)に属し、御影堂の障壁画制作や飛雲閣の障壁画の修復を行った徳力善雪(1599〜1680)が、江戸時代寛文元年(1661)親鸞聖人400回大遠忌法要のため描いた、8幅からなる大作です。図様や構成は、室町時代に数多く描かれた四幅絵伝と大きな相違はありませんが、ある意味で図柄や形式が定まった四幅絵伝とはまた趣を異にし、いかにも近世絵画らしく、人物や景観の描写に、絵師の自由な裁量が発揮されており、整った美しい絵伝に仕上がっています。本図は上下の総寸法で、約3メートル近くあり、その大画面は圧倒的な迫力で迫ってきます。この絵伝は、現在も本願寺で毎年行われる報恩講のさい、御影堂に掛けられているといいます。御影堂の壮大さを考えれば、こうした巨大な掛け軸が制作されたのも、当然のことといえるでしょう。
九州国立博物館
親鸞聖人750回大遠忌記念
「本願寺展 親鸞と仏教伝来の道」
【会場】九州国立博物館 3階 特別展示室(福岡県太宰府市石坂4-7-2)
【会期】平成19年9月22日(土)〜11月18日(日)月曜休館(月曜日が祝日・休日の場合は開館、翌日休館) ただし、9月25日(火)は開館
【出品件数】132件(予定) うち国宝4件、重要文化財24件を含む
【開館時間】午前9時30分〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
【入場料】当日…一般1,300円 高大生1,000円
小中生600円 前売・団体 一般1,100円 高大生800円 小中生400円
【お問い合わせ】九州国立博物館
福岡県太宰府市石坂4‐7‐2
ハローダイヤル 050-5542-8600(午前7時〜午後11時) |
|