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九州国立博物館ガイド vol.4
特別展「日本のやきものー選び抜かれた名宝一二〇点ー」
第2回 〜陶磁器に見る国際交流〜
■プロフィール
九州国立博物館 研究員
遠藤 啓介(えんどうけいすけ)
大学時代に発掘調査中、陶磁器に出会い、中国の焼き物を専門とするが、日本、東南アジアなどの東洋全般の陶磁史について見聞を広げている。 |
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7月7日より九州国立博物館では、特別展「日本のやきもの〜選び抜かれた名宝一二〇点〜」を開催しています(8月26日まで)。本展覧会は、縄文時代から近現代に至る日本のやきものを名宝で語ろうという壮大なものですが、もうひとつのテーマとして、日本のやきものの成り立ちに関りの深かった海外のやきものも同時に展覧し、陶磁器の国際交流という面にも光をあてています。古代から近世に至るまで日本陶磁は海外のやきものの影響をうけて発展してきました。ここでは特に近世に注目してその国際交流がどのようなものだったのか見ていきましょう。
皆さんもご存知の染付ですが、日本ではじめて染付を作ったのは江戸時代初頭の有田でした。安土桃山時代に朝鮮半島からの陶工たちが九州や山口で作陶を始めます。古代・中世では目立った活動のなかった九州の窯業は、肥前を中心に活発な生産活動に入り、その中で鉄を用いて筆で文様を描く唐津窯の陶器は新しい動きでした。唐津窯の帰化陶工であった李参平が磁石を発見し磁器や染付を作り出したのは、1610年代のこと考えられています。朝鮮半島からの技術だけではなく、中国の針支えなどの技術や古染付と呼ばれる明代天啓年間(1621‐27)の前後に作られた染付(写真1・東京国立博物館蔵)に見える中国の文様を多く取り入れました。そのころの染付を初期伊万里(写真2・文化庁蔵)と言い、中国の文様に学びながらも日本で始めて絵付けをした初々しさや自由奔放な作風が魅力となり、その後、世界の人々をも魅了しました。
一方、青と白の染付に対して赤や緑、金色などを使う色絵では、柿右衛門などが有名です。初代酒井田柿右衛門が色絵技法を開発したのが、正保4年(1647)の少し前と考えられています。1660年代には濁手と呼ばれる乳白色の素地に近づき、1670-80年代には柿右衛門様式と呼ばれる余白を生かした繊細な色絵が完成し、それは西洋の王侯貴族たちの東洋趣味をすっかり魅了し、輸出用の磁器として隆盛をきわめました。
西洋には完成期の柿右衛門様式が残っている例が多く、イギリスのメアリー2世の蒐集として知られるハンプトン・コート宮殿の伝世品、ドイツのザクセン選帝侯アウグスト1世の伝世品などがあり、変わったところでは、ドイツのブランデンブルグ選帝侯フリードリッヒ3世がオラエンブルグ城の天井に描かせた壁画に天使が抱えている壺のデザインが見え、これはまさに柿右衛門様式のものなのです。
そして、柿右衛門様式の作品は西洋の窯業生産にも大きな刺激を与えました。ドイツのザクセン選帝侯のアウグスト1世は、柿右衛門様式のやきものを蒐集するに飽き足らず、マイセン窯の陶工ヨハン・ベットガーに命じて白磁を作らせ、1720年前後には手本とほぼ同じレベルの色絵磁器を作ることに成功しました。この名声は西洋に広まり、その結果としてフランスのシャンティーイ窯などで柿右衛門様式の色絵磁器が模倣されるようになりました。朝鮮半島や中国の技術を学んで作った日本の磁器が西洋の磁器誕生に一役買ったというわけです。
九州国立博物館
特別展『日本のやきもの‐選び抜かれた名宝120点‐』
■会期/平成19年7月7日(土)〜8月26日(日)
■休館日/月曜休館(月曜日が祝祭日の場合は開館、翌日休館)※ただし、7月9日(月)、8月13日(月)は開館)
■会場/九州国立博物館 3階 特別展示室
(〒818-0118 福岡県太宰府市石坂4-7-2)
■開館時間/午前9時30分〜午後5時(入館は午後4時30分まで)ただし、土・日・祝日は午後6時まで開館(入館は午後5時30分まで)
■観覧料/一般 1,200円、高大生 800円、中小生 400円 |
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