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今月の特集「春酔の一献、生酒に誘われて」1

2月号 07.01

鮮度あふれる香りと味
魅せる、生ならではの個性
ヒヤリとした飲み口搾りたてのフレッシュ感

〈絞りたて〉とも呼ばれる「生酒」とは、絞った後、一度も火を入れない状態で出荷される酒をいう。通常、日本酒は貯蔵する前とビン詰め前の2回、「火入れ」という過熱工程を経て出荷を迎える。火入れの目的は酒内の酵母の働きを止めること。つまり、火を入れない生酒とは、酵母が生きた状態で残った酒である。そのため火入れをした通常の日本酒以上に長期保存が難しく、開栓しない状態でも味は日々変わり、度が過ぎればすっかり劣化してしまう。
多くの生酒が寒造りのピークを迎えるこの季節にしか味わえない〈旬の酒〉というのはそういうワケだ。さて、その味わい。魅力は「フレッシュ感」に尽きる。搾りたてならではの若く、パンチの効いた味と香りは特有の個性が立つ。種類は純米、吟醸レベルのものが多く、中にはガスが残る〈微発泡〉や〈濁り〉、濁りよりさらに細やかな粒子が舞う「おりがらみ」という美しい表現で呼ばれるタイプもある。酵母の特性から生酒は〈冷保存〉が絶対のため、初めてならまず喉越しの良さが際立つ。熱燗の味や香りが苦手で日本酒を敬遠していた人にとっては、常温の冷や酒より一層飲みやすいに違いない。一杯傾ければ、記憶の中の日本酒を丸ごと上書きする魅惑の出遭いを体感できることだろう。
和を愉しむ 今月の特集
春酔の一献、
生酒に誘われて

今回の特集(生酒)。
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“飲まず嫌い”の日本酒

日本人の主食である米を大胆に削り、主原料とする日本酒は「世界で最も贅沢な酒」と呼ばれる。和食によく合う美酒にも関わらず、意外に愛好家が少ないのは、恐らく「飲まず嫌い」が一因ではないだろうか。例えば、原料や手間隙、味に雲泥の差がある〈普通酒以下の酒〉と〈大吟醸〉も、くくりは同じ「日本酒」。また、レベルが高くとも例えば開栓後、過度に日が経てばその味は極端な劣化を避けられない。レベルの低いものや、保存状態のいいかげんなものを飲み、「日本酒はマズイ」と飲まず嫌いになるのは損。ハズレない日本酒選びのために2つの基本をおさえておきたい。
【ハズレのない日本酒選び】
一.『純米酒』『吟醸』『大吟醸』から選ぶ
二.信頼のできる酒屋、飲食店に足を運ぶ

情熱でつなぐ信頼関係が
美味しい生酒を運んでくる

 実は生酒が一般に流通するようになったのはここ15年程度の話。理由の一つは流通の問題だ。冷蔵厳守の生酒は、酒造元での貯蔵はもとより、運搬や酒店などの卸し先での冷蔵設備が整っていなければ出荷が難しかったのである。『美田』『三井の寿』といった銘酒で知られる井上合名会社でも、これから3月にかけて生酒の出荷が始まる。
麹造りから全て手作業で行う井上宰継さんは、生酒に限らず丹精込めた全ての日本酒を美味しい状態で届けるには、出荷先との信頼関係が欠かせないという。「なるべく酒屋さんへの直接販売を心がけています。小売の方と酒を造った私が膝を突き合わせ、同じ思いを持って酒を届けていく。品質管理を含め、小さな酒造にとって小売店の方の真摯な思いこそがお客様への唯一の伝達手段。信頼のおける相手でなければ、取り引きはできないのです」酒屋によって日本酒の品揃えが大きく異なるのには、このような背景がある。美味しい生酒を手に入れるためには、優秀な酒屋との出会いが近道ということだ。

D A T A
井上合名会社
四代目を継ぐのは30代の若き井上兄弟。人の目と手を基本に一貫した手作業から生まれる銘酒は関東や北海道の日本酒通からも名を知られる。熱のこもった確かな一本を手に入れるため覚えておきたい酒造元。

■住所/福岡県三井郡大刀洗町栄田1067-2
■TEL/0942-77-0019
■URL/http://miinokotobuki.com




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